大きくなろう!


県総力戦が始まり数日、どうやら他校生間といえ、チーム内もどうやらまとまりがついてきた頃。

この日の夕食時も同校・他校カンケーなく心を割って話し合っているようだった。


そんな時、マイペースに夕食をとっていた華武高校3年・屑桐無涯は
突然騒動に巻き込まれる羽目になった。


「ちょっと屑桐さん!!こいつ何とかしてくださいよっ!!」

自分に助けを求めてきたのは十二支高校1年、猿野天国。
言わずと知れた(?)埼玉選抜チームのアイドルだ。

その腕には屑桐の後輩一匹…いや、後輩の一人。
華武高校1年の御柳芭唐がずるずると首根っこを掴まれていた。

どうやら意識はあるらしいが、かなり苦しそうな表情だ。

「…こいつは何をやらかした?」

後輩の現在の苦しみは完璧にスルーして、屑桐は天国に聞いた。


「ちょ…っ屑桐さんっ!オレは無視かよ!!」
「あっ。」

その様子に御柳は天国の腕を振り払い、講義する。


「わざわざ周りに見せ付けるために捕まったふりしてる奴の相手をしてられるか。」
本気を出せば今のように振り払えるだろう、と屑桐は言外でとがめる。


「ちっ、バレてたか。」

御柳は悪びれることもなく呼吸を整えた。

「って、御柳…やっぱオレに引きずらせてたのかよ。
 重かったじゃねえか!」

「え〜いいじゃねえか、オレを連れてるわりには随分早かったぜ?
 思ったより筋力はあるみてえだな。テメー。」

「えっ?そっか?」
御柳の褒め言葉に、天国は先ほどまでの怒りを忘れたかのように嬉しそうに笑顔を向けた。

この率直で素直なところが魅力ではあるのだが…。

屑桐は御柳の誘導にあっさりと乗る天国に苦笑しつつ。


先ほどの剣幕の理由を聞くことにした。


「で?猿野。
 こいつは何をやらかしたんだ?」


その言葉に、天国はすぐに思い出したように、屑桐の方を向きなおした。


「あ、そうなんすよ!
 こいつのデリカシーってもんはどこに飛んでんですか?!」

どうやら御柳は天国にしょうもないことを言ったようだ。

さて、どうしたものかと屑桐は思った。
御柳の言動にまで責任はもてないのが実際のところだ。
しかしまあ、ほかでもない天国が、せっかく自分に頼ってきてくれたのだ。

話くらいは聞いてもいいだろう、と思った。
「すまんな。
 オレもどこを飛んでるのか知りたいものだ。
 今年の4月には既に皆無だったからな。」

「でしょー?!
 このヤロー風呂場でちいさいだの育ってないだのと!!」


ぴく。


その言葉に、周りも反応した。



風呂場で?

小さい?育ってない?




「だってちっせえっしょ?お前。」

天国の抗議を横で聞いていた御柳は、口をはさむ。

「うるっせえ!オレは平均だ!見りゃわかんだろ?!」

すると横からも口が挟まれてきた。



「へえ〜小さいの?天国ちゃんのはv」

興味津々、といった風に現れて天国に圧し掛かってきたのは、セブンブリッジ学院3年、中宮紅印。


「姐さん〜〜。オレは平均ですって!!」
「あらんv そんな恥ずかしがることないわよぉ。
 天国ちゃんはおっきくてもちっさくても可愛いに決まってるからv」

「兄貴〜〜!いいかげんに猿野を離せよな!
 あ、オレもおっきくてもちっさくてもかまわねえぞ?!」


「は?なんで二人がオレなんかの気にするんですか?」


「「気になるに決まってる(じゃない)。」」


即答する二人に、あっけにとられる天国。


ちなみに屑桐は、というと。

固まったままになっている。



(何をいっているのだこいつらは!!猿野の…風呂場…ということはおそらくアレ…。
 いや、オレは一体何を考えている?! 
 第一男同士だしそんな想像してどうこうということでは…。
 だが、猿野の…いや、止めなければ。)


「屑桐さん…何か想像してる気…。」
「放っといてあげるング…。」

ぐるぐる回っている主将を気の毒そうに眺める約2名。




そんな屑桐を尻目に、天国はついに大きく叫んだ。



「だから!オレの身長をどうしてそんな気にするんですか?!」





「「「「へ。」」」」





#######


「で、屑桐さんはな〜にを想像してたんすか?きゃvや〜らし。」

「黙れ御柳。殺すぞ。」

「なあんだ、そんな健全な話してたわけ?
 あたしはてっきりピーのおっきさのお話かと思ってたわ。」

「まぎらわしいング…。」

「な〜んだ、つまらない気。」

「風呂場っつーのがネックだったよなあ。屑桐ぃ?」

「だからオレに振るな中宮弟!!」



自分の気づかないうちに鼻血をたらしていたらしい屑桐は、
真相が分かった後さんざんにいじられていた。



そして。



「きゃーっ屑桐サンたら不潔ーっ!!」



「さ、猿野ーーー!!」



思い人にまで変態呼ばわりされる羽目となったそうだ。






結論。

人の話は最後まで聞きましょう。

大事なものを失いますよ?




                                end



今回は奇をてらわず、ありがちですがギャグで突っ走ってみました。
意外とすすすと文が進んでびっくりしてます。

屑桐くんが獲物になったのは趣味です。
かっこいい彼らが好きなかたがた、いつも申し訳ありません!!

そして秋空さま、大変お待たせして本当に申し訳ありませんでした!
待たせた挙句こんな感じで重ねてすみません…。


素敵リクエスト、本当にありがとうございました!!



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